EU議会がナチと共産主義者を同一視する決議
9月19日、欧州議会はナチと共産主義を同一視する決議を採択。進歩派や左翼が抗議している。決議案は、「未来のためには過去の記憶の処理が大切」として、共産主義とナチズムを同列に扱い、欧州各地に残る全体主義の記念碑を抹消しようと提案。第二次世界大戦を「1939年8月23日の独ソ不可侵条約の直接的帰結」と断じ、EU議会が決議したのである。
進歩的活動家たちは、この決議について「共産主義者やソ連の反ファシズム遺産を抹消し、他方スペインのフランコ、イタリアのムッソリーニなどがナチと協力し非人道的犯罪を積み重ねた歴史的事実を覆い隠そうとするEU指導部の政治的戦略だ」と批判している。欧州統一左派・北方緑の左派同盟(GUE/NGL)は、「EU指導部が第二次世界大戦開始80周年記念を歴史修正主義を作動させる契機に使っている」と非難する声明を欧州議会に提出した。
各地の共産党が 抗議声明を発表
イタリア共産党のフランチェスコ・マリンジョは、「ソ連赤軍が大きな犠牲を払って対ヒトラー戦を闘った貴重な歴史的遺産を抹消している」と指摘した。
ギリシャ共産党(KKE)も決議文の目的について、「EU加盟国で実施されている共産党や共産主義的シンボルを禁止している措置を合法化すること」と説明している。
ポルトガル共産党(PCP)は、「欧州議会が採択した決議文は近代史を歪める反動的偽証テキストで、ファシズムと共産主義を同じものとでっち上げる試みであり、ソ連と対抗するためにナチ強権の成長を助けた資本主義大国(英国と仏国)の共謀罪を不問に付すもの」と非難した。
また独ソ不可侵条約の悪用に関しては、「ソ連の労働者が実現した経済的・社会的成果に反発する資本主義大国がファシズムやナチズムの台頭を黙認し、暗にそれに結託した事実を隠し、ファシズム台頭をソ連のせいにする」ものと批判した。
イタリア共産党は、労働者の権利や福祉が脅かされている現代にEUが反共主義へ走るのは、人民の抵抗運動や階級闘争再生へ向けての再編の力を弱めようとする支配階級の戦略である、と声明した。
ポーランドやウクライナの共産党員たちは、国家やネオファシスト団体による日常的な弾圧攻撃に苦しんでいる。ドイツやイタリアのような国でも、反移民と国家主義的な狂暴な波が増大している。